御 挨 拶

中学同窓会の皆様と共に ―いつまでも残るもの




西南学院中学校・高等学校

校長 早川 寛

今年度より中根広秋校長の後任として中学校・高等学校校長に就任いたしました。どうぞよろしくお願いします。

卒業された多くの方々にとって中学時代の思い出はと尋ねると、「チャペル」・「讃美歌」であるという声をよく聞きます。西南に入学するほとんどの方にとって初めて触れるキリスト教の文化や価値観に大きな影響を受けて卒業される方が多くいらっしゃることを大変嬉しく思います。アフガニスタンで支援活動を続け、昨年12月凶弾に倒れた中村哲さんもそのうちの一人でした。中村さんは本校に在学中に洗礼を受けました。

新約聖書に「善きサマリヤ人の話」たとえ話があります。ある旅人が、追いはぎに襲われ、瀕死の状態で倒れていた時、たまたま通りかかった祭司や同胞のレビ人は無視して通過したにもかかわらず、異邦人であるあるサマリヤ人はこの旅人を哀れに思い、介抱し、宿屋に連れて行き、お金まで出して後事を託したという話です。

中村さんは生前、なぜ異国でそのような活動をしているのかという問いに対して、次のような話をしています。「道で倒れている人がいたら手を差し伸べる。それは普通のことです。・・・みんなが泣いたり、困っているのを見れば、誰だって『どうしたんですか』って言いたくなる。そういう人情に近いもんです。」中村さんはまさに、西南学院の建学の精神「西南よ、キリストに忠実なれ」を実践した人だったのです。同窓生の皆さんの中にもきっと、分野は違っていても、同じ建学の精神を受けて活躍されている方々がたくさんいらっしゃることでしょう。

西南学院中学校は、男女共学、中高一貫、新校舎移転と大きな変化を遂げました。今後も、グローバル化・多様化する社会の中にあって、さらなる変化を余儀なくされています。この変化に取り残されまいとして必死にもがいている現実があります。しかし、聖書はいつまでも残るものがあることを教えています。

「信仰と、希望と、愛、この三つは、いつまでも残る。その中で最も大いなるものは、愛である。」

(コリントの信徒への手紙一 13章13節)

同窓会の皆さまの母校への愛情と情熱もいつまでも変わることはないと確信しています。今後も、皆さまと共に歩ませていただけることを心から感謝します。

中学校同窓会のますますのご発展、会員の皆様のご健勝を心からお祈りいたします。